映画「ライフ・オブ・パイ」を見た感想(ネタバレあり)

映画「ライフ・オブ・パイ」 洋画

このページでは映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」を見た感想をお伝えしたいと思います。
ネタバレもありますので、未観賞の方が読まれる際はお気をつけください。

「どんでん返しがすごい」と噂に聞いて

劇場公開時の「ライフ・オブ・パイ」の印象は、「少年がトラと海を漂流する映画?童話かな?」というもので、映画館に見に行こうという気にはなりませんでした。

その後、アン・リーがこの映画でアカデミー賞監督賞を受賞したということで気になっていましたが、最近になって「この映画にはすごいどんでん返しがある」ということを知り、見てみることにしたというわけです。

「ライフ・オブ・パイ」のあらすじをすごく簡単に説明すると、インドで動物園を運営していた家族がいて、彼らは動物を連れてカナダに移住することになります。
ところが、船でインドからカナダへ移動する際に、彼らの乗った船が嵐で沈没してしまい、運よく救命ボートに乗り込めた主人公の少年とシマウマ、ハイエナ、オラウータン、そしてトラの動物たちが大海原を漂流することになる、というものです。

考えてみれば、私はアン・リー監督作品を見るのは初めてでした。
2回もアカデミー賞監督賞を受賞している監督ですし、「ハルク」なんかのエンタメ作品も監督していますからどこかで見ていたんじゃないかと思ったのですが、見ていませんでした。

アン・リーのこれまでのフィルモグラフィーを見てみると、テーマがバラバラというか、特にこういう系統が得意とかという人ではないようですね。
興味があればジャンルを問わず撮るという人なのでしょうか。
「ライフ・オブ・パイ」に関しては、幻想的な映像にこだわりを感じました。

至る所に伏線が

この作品は、主人公の少年が成長した姿である男が小説家に自分の体験を話す、という形式で進んでいきます。
冒頭でふたりの話がかみ合っていないように見えるシーンがあり、「もしかして、これがどんでん返しの伏線か?」と思わせられます。

しかし、その後は割と淡々と話は進み、嵐がやってきて主人公のパイは動物たちと漂流を始めることになります。

主人公とともに救命ボートに乗り込んだのはシマウマ、ハイエナ、オラウータンで、シマウマは脚にケガをしています。
で、ハイエナがシマウマとオラウータンを食べようとして命を奪ってしまいます。
当然ですよね、肉食動物だから。

と思っていたら、救命ボートの奥からトラが飛び出してきてハイエナの命を奪います。
ここで、「あれ?どうしてトラは今頃出てくるの?」という疑問が頭に浮かびますが、その後、主人公がパニックになってしまうのでその疑問は忘れてしまいます。
でも、実はこのシーンは大きな伏線であることに後から気づきます。

その後、主人公・パイは色々なことを試してトラをてなづけることに成功し、トラとともに漂流を続けます。

そして、パイとトラは無人島に流れ着きます。
そこは海の上に浮かぶ植物でできた島でした。
でも、その島は島全体が食虫植物のような生物を補食する島だったので、パイはトラを連れてボートに戻り、また漂流を始めます。

このシーンでまた、「どうしてトラを連れて行くの?島に置いていけばいいのに」という疑問が生まれます。
実はここも伏線でした。

そして、パイとトラはほとんど餓死寸前の状態となりながらメキシコに漂着し命拾いするのです。
メキシコの海岸に流れ着いた後、トラは動けないパイを食べることなく海岸沿いの森に消えます。
それを見てパイは、「トラがいたから自分は生き延びることができた」と考えます。

「そんなことってある?トラがいない方がずっと苦労が少なかったはずなのに」と思いましたが、やっぱりここも伏線だと後でわかります。

そして、病院に入院したパイのところへ保険会社の調査員がやってきて、漂流の様子を尋ねます。
パイは最初、トラと漂流した話をしますが、もちろん信じてもらえません。

「もっと信憑性のある話をしろ」と言われてパイが話したことが「どんでん返し」だったのですが、ここで書いてしまうとつまらないと思うので、書くのはやめておきます。
でも、少しだけネタバレしておくと、最初に救命ボートに乗っていた動物は実は動物ではなかった、ということになります。

見た目はファンタジーだけど実は

見る前は、なんとなくファンタジー童話かな?くらいに思っていたのですが、実は大変業の深い話でびっくりしました。
アカデミー賞受賞も納得ですね。

まさか実話じゃないよな、と思って調べたら、実話ではありませんでしたが、モデルにした似たような話はあるようです。

映画の大部分で描かれていたことは、主人公・パイの作り話、というか実際の凄惨な体験を忘れるために作り上げたイメージということになるのですが、面白いのは、もうひとつの体験の方が真実とは断言していないので、そちらも作り話だという可能性もあるということです。
結局、何が起こったのかは観客の判断に委ねられているというわけですね。

また、調べて驚いたのは、この作品、製作費が100億円ほどかかっているということです。
漂流のシーンはほとんどCGですが、10年近く前とはいえ、そんなにかかるもんかな?とは思いました。

ただ、漂流のシーンのほとんどは、監督の地元の台湾で撮影していたり、ほんのワンシーンのためにジェラール・ドパルデューをキャスティングしていたりといったこだわりの部分がかなりあるようです。

あと、個人的に強く印象に残ったのが、嵐のために救命ボートが木の葉のように揺れるシーンです。
昔、いやいや行った釣り船での海釣りで激しい船酔いを経験した者としては、見ていて冷や汗が出てくる感じでした。

まとめ

映画「ライフ・オブ・パイ」を見た感想をお伝えしました。

結構、軽い気持ちで見始めたのですが、これはファンタジーな見た目とは裏腹にかなり重い話です。
極限状態に置かれたときに自分ならどうするか、ということを考えさせてくれる作品だと思います。

また、本編のいたるところにラストのどんでん返しの伏線が張り巡らされていますから、伏線回収的な作り込まれたストーリーが好きな方ならば、大満足できるのではないかと思います。

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