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1970年代、アメリカで30人以上の女性の命を奪ったといわれる人物、テッド・バンディの姿を実話を基に描いた作品。
製作総指揮も務めた「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロンが稀代の凶悪犯であるテッド・バンディを演じた映画「テッド・バンディ」
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映画「テッド・バンディ」の作品情報・あらすじ・感想
2019年公開。上映時間109分。R15+。クライムドラマ。
70年代のアメリカで、30人以上の女性が惨殺された犯罪は、当時世界を震撼させた。
IQ160の頭脳と端正な顔立ちで、司法とメディアを翻弄した稀代の連続殺人鬼テッド・バンディの実話を、「ハイスクール・ミュージカル」「セブンティーン・アゲイン」「グレイテス・ショーマン」のザック・エフロンが演じた。
Netflixオリジナルドキュメンタリーシリーズ「殺人鬼との対談 テッド・バンディの場合」を監督したジョー・バリンジャーが、引き続いてテッド・バンディをテーマにした本作の監督も担当している。
世界で初めてシリアル・キラーと呼ばれた男、テッド・バンディ。
世界を震撼させたシリアル・キラーの心に迫る本作は、実話である事件の残酷な描写よりも、バンディの人間性に焦点を当てて進められていく。
バンディの最も近くに長年いながら、命を奪われることはなかった恋人からの視点を通して見えるバンディの姿は、観客が予想し求めていたものを超えていく。
彼が最後に告白した、裁判記録に残されていない真相を受け止めることができるだろうか?
これまでの“爽やかな好青年“というイメージを壊してまで、不気味なシリアル・キラーを怪演したザック・エフロンの本気が見える作品。
バーリンジャー監督が同じ2019年にバンディ関連作品を2本発表することになった経緯です。
監督は本作とほぼ同時期にNetflixのドキュメンタリーシリーズ『殺人鬼との対談:テッド・バンディ』も制作していました。
しかし本人によれば、これは最初から計画していたものではありません。
2017年ごろ、作家スティーブン・ミショーから、バンディ本人へのインタビュー音声テープについて相談を受けたことがドキュメンタリー制作のきっかけになりました。
その後、別のルートから本作の脚本がバーリンジャー監督のもとに届き、「これは面白い」と感じて映画化に参加することになったそうです。
本人も「バンディ作品を2本作るという壮大な計画があったわけではなく、偶然が重なった」と説明しています。
本作で最も話題になったのが、ザック・エフロンがテッド・バンディを演じたことです。
それまでのエフロンは、青春映画やミュージカル作品などで知られており、バンディ役は大きなイメージチェンジでした。
バーリンジャー監督は、むしろそこに意味があると考えていました。
バンディには、人当たりがよく、魅力的で、周囲から信用される一面があったため、観客から親しみを持たれやすいエフロンを起用することで、「一見すると普通で魅力的な人物が、実は恐ろしい犯罪者だった」というバンディの二面性を表現できると考えたのです。
監督はエフロンについて、それまで十分に演技の幅を見せる機会がなかった俳優だと考えており、今回の役は彼にとっても大胆な挑戦になると判断しました。
意外なのが、本作の初期脚本では、観客が最後まで「主人公がテッド・バンディだ」と明確には分からない構成が考えられていたことです。
バーリンジャー監督は、このアイデア自体は脚本として面白いものの、現代では「ザック・エフロンがテッド・バンディを演じる映画」と宣伝された時点で正体が分かってしまうため、成立しにくいと考えました。
そこで監督は、
「最初からバンディだと分かっている状態で、なぜ周囲の人々が彼を信じ続けたのかを描こう」
という方向へ変更しました。
さらに、当初の脚本よりも暗く、現実に近いトーンへと調整したそうです。
本作の特徴は、バンディの残虐な犯行を延々と描く作品ではないことです。
物語の中心にあるのは、恋人リズとの関係や、バンディが周囲の人々に見せていた姿です。
バーリンジャー監督は、殺人そのものよりも、
「殺人を犯している人物が、普通の恋人や友人として日常生活を送っていた」
という部分に恐ろしさを感じていました。
そのため、暴力描写を大量に見せるのではなく、「だまされる側から見たバンディ」を描くことに重点を置いています。
リズ・クルーファー役のリリー・コリンズについても興味深いエピソードがあります。
バーリンジャー監督は、エフロンにはバンディについての映像資料を大量に見せた一方で、コリンズには逆に資料をあまり見せないようにしたそうです。
理由は、リズという人物の視点をできるだけ純粋に作りたかったからです。
コリンズは役作りのために資料を欲しがったものの、監督は「インターネットでバンディについて調べなくていい」と伝えたといいます。
そして、ある重要な場面を撮影する直前になって、初めてバンディの犯罪に関する生々しい映像を見せたそうです。
これは、観客がリズと同じように「信じていた人物の正体を知っていく」感覚を作るための演出ともいえます。
映画の中には、1970年代のバンディ事件を伝えた実際のニュース映像や資料映像・音声が取り入れられています。
これはドキュメンタリー映画を数多く手掛けてきたバーリンジャー監督ならではの演出です。
編集を担当したジョシュ・シェーファーによると、監督は撮影当初から、アーカイブ映像やニュース音声を映画に組み込むことを明確に考えていました。
1970年代という時代の空気を再現すると同時に、「これは実際に起きた事件なのだ」と観客に意識させることが狙いでした。
面白いのが公開時期です。
2019年1月24日、Netflixで『殺人鬼との対談:テッド・バンディ』が公開されました。
そして同じ日にサンダンス映画祭で本作がプレミア上映されています。
しかも、この日はバンディの刑が執行されてから30周年にあたる日でした。
結果的に、バーリンジャー監督が手掛けた2つのバンディ作品が、ほぼ同時に世に出るという非常に珍しい展開になりました。
現在ではNetflix作品として知られていますが、実はNetflixは当初から本作を積極的に買おうとしていたわけではありません。
バーリンジャー監督によれば、Netflixはすでにバンディのドキュメンタリーを制作していたため、当初は劇映画まで扱うことに慎重だったそうです。
ところが、ドキュメンタリーが1月24日に公開されて大きな反響を呼び、さらに同時期にサンダンス映画祭で本作が上映されると状況が変化。複数の配給会社が関心を示す中、Netflixも映画を取得することになりました。
ザック・エフロンという人気俳優をバンディ役に起用したことや、犯罪の残虐な場面を中心に描かなかったことから、公開時には「バンディを魅力的に見せすぎているのではないか」という議論も起こりました。
これに対してバーリンジャー監督は、むしろ映画では殺人そのものを見せるのではなく、バンディの「欺瞞」「裏切り」「人を信用させる能力」こそを描きたかったと説明しています。
エフロン自身も、この作品への出演について、バンディ本人を魅力的に見せることが目的ではなく、被害者たちに意識を向けることが重要だったという趣旨の発言をしています。
この作品を理解するうえで重要なのが、タイトルこそバンディですが、物語の視点はかなりリズ・クルーファー側に置かれていることです。
リズはバンディと長期間交際し、彼が犯罪者だとは知らずに生活していました。
つまり、この映画が描こうとしたのは単なる「連続殺人犯の伝記」ではなく、
「身近な人間が、実は恐ろしい犯罪者だったとしたら?」
という恐怖です。
この視点が、一般的なシリアルキラー映画とは異なる本作の大きな特徴になっています。
映画「テッド・バンディ」のあらすじ
1969年にワシントン州シアトルでセオドア・バンディ(ザック・エフロン)通称テッドとシングルマザーのエリザベス・ケンドール(リリー・コリンズ)通称リズは、バーで出会う。
恋に落ちたふたりは、リズの2歳になる娘モリーと3人で絵に描いたような幸せに浸って暮らしていた。
1974年にキング郡で若い女性が襲われる連続殺人事件が起こった。
現場付近では、“ビートル“という車種の車が目撃されており、怪しい男の似顔絵も公開された。
1975年にテッドは、誘拐未遂事件の容疑をかけられ、あっという間に加重誘拐と暴行未遂で起訴されてしまう。
テッドが“ビートル“に乗っており、公開された似顔絵に似ていたというのが、逮捕の決め手だった。
突然の事態に混乱するリズに、「誰かにハメられた」と訴えるテッドは裁判で無罪を主張する。
テッドは裁判の勉強を始め、面会に来たリズに釈放されたら結婚しようと約束する。
テッドとの幸せな日々を信じるリズと、無実を訴えて戦い続けるテッド。
やがて数々の事件の実態が白日の下にさらされ、テッドは追い詰められていく。
しかし、裁判でどんなに不利になろうとも、余裕の姿で雄弁に自己弁護するテッド。
本当にテッドが犯人なのか?
事件の真相はなんなのか。
衝撃はラストに待っている。
映画「テッド・バンディ」の感想
シリアル・キラーの映画と聞くと、壮絶な殺人シーンを思い浮かべるところだが、この作品は殺人ではなくバンディ自身にスポットを当てて描いていくので、これといった殺人シーンの描写はない。
バイオレンスを求めてこの映画を鑑賞すると、肩透かしをくらう。
実際に起きた事件を表面的に追うのではなく、バンディがバンディたるゆえんを紐解いていく内容。
裁判ものと言っていいほど裁判シーンが多いのだが、殺人シーンがないにも関わらず、笑顔のバンディの内面を見ているほうが恐ろしいという、心がざわつく恐怖を感じた。
実際に起きた凄惨な事件を元にしており、映像的にもっとインパクトのある作品にもできるところを、あえて犯行内容の詳細を使わずにバンディとバンディを取り巻く女性の目線でストーリーを展開させたところに、この作品の本質が見えた。
愛する人は本当に殺人犯なのか?というリズの思いに、結果を知った上で観ているにもかかわらず、気がつくと同調していることに驚く。
全編が彼女よりの目線で進んでいくので、テッドは冤罪なのでは?とテッドの魅力に度々負けそうなるのだ。
また、テッドを演じたザックの今までのイメージも加わり、これが実際の事件だと知らなければ、本当にテッドの冤罪説に傾いてしまっただろう。
どんな事実も見る角度を変えれば、全く別の感情が現れることを知った、自分の信じる信念をも揺るがす作品だった。
映画「テッド・バンディ」のスタッフ
監督:ジョー・バーリンジャー
製作:マイケル・コスティガン、ニコラス・シャルティエ、ジョー・バーリンジャー、アラ・ケシシアン、マイケル・シムキン
製作総指揮:ザック・エフロン、マイケル・ワーウィー、ジョナサン・デクター、ジェイソン・バレット
原作:エリザベス・クレプファー
脚本:マイケル・ワーウィー
プロダクションデザイン:ブランドン・トナー=コノリー
衣装デザイン:メーガン・スターク・エヴァンズ
編集:ジョシュ・シェファー
音楽:マルコ・ベルトラミ、デニス・スミス
音楽監修:ロビン・アーダング
映画「テッド・バンディ」のキャスト※()内は日本語吹き替え版キャスト
テッド・バンディ:ザック・エフロン(森田成一)
エリザベス(リズ):リリー・コリンズ(清水理沙)
キャロル・アン・ブーン:カヤ・スコデラーリオ(和優希)
ジョン・オコンネル弁護士:ジェフリー・ドノヴァン(裕樹)
ジョアンナ:アンジェラ・サラフィアン(大平あひる)
デヴィッド・ヨーコム検事:ディラン・ベイカー
ダン・ダウド弁護士:ブライアン・ジェラティ
ラリー・シンプソン検事:ジム・パーソンズ
エドワード・コワート判事:ジョン・マルコヴィッチ(金尾哲夫)
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映画「テッド・バンディ」の関連作品
監督:ジョー・バーリンジャーのその他の作品
ブレアウィッチ2 (2000)
監督:ジョー・バーリンジャー
出演:ジェフリー・ドノヴァン、エリカ・リーセン、トリステン・スカイラー他
上映時間91分。ホラー。
低予算ながらも世界中でメガヒットを飛ばし、一躍ブームになったホラー映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の続編。
2000年のゴールデン・ラズベリー賞の作品・監督・脚本賞受賞。
殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合 (2019)
監督:ジョー・バーリンジャー
上映時間53分。TVドキュメンタリー。
死刑囚監房での録音テープと事件当時の記録映像、関係者へのインタビューを交えて、世界に名を残すシリアル・キラーのテッド・バンディの素顔に迫る。
Netflix作品。
出演:ザック・エフロンのその他の作品
ベイウォッチ (2017)
監督:セス・ゴードン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ザック・エフロン、アレクサンドラ・ダダリオ他
人気TVシリーズのリメイク作品。
マイアミのビーチの安全を守るライフガードのチーム”ベイウォッチ”。
新メンバーとして水泳金メダリストのマットが加わることになるが、リーダーのミッチはマットの参加を快く思わず…。

出演:リリー・コリンズのその他の作品
白雪姫と鏡の女王 (2012)
監督:ターセム・シン・ダンドワール
出演:ジュリア・ロバーツ、リリー・コリンズ、アーミー・ハマー他
グリム童話『白雪姫』を原作とする作品。
王である父の亡き後、意地悪な継母によって城から追い出されてしまった白雪姫。
森の7人の小人の助けを得て、継母への逆襲を開始し…。

まとめ
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