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「アントマン」の脚本を手がけたエドガー・ライトが監督を務め、イギリスで大ヒットしたゾンビ・コメディ作品。
日本では長らく劇場未公開だったが、そのカルト的な人気から本国での公開から15年後の2019年に劇場公開されることになった映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」
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映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の作品情報・あらすじ・感想
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」は、2004年にイギリス・アメリカなどで公開されて、イギリスでヒットしたホラー映画です。
日本ではDVD販売こそされるものの、劇場公開はされておらず、イギリスでの公開から約15年後の2019年の限定公開を待つこととなりました。
ゾンビ映画というジャンルを確立したとされる映画「ゾンビ」をパロディした作品で、ホラーでありながらコメディ要素が強く、数あるゾンビ映画の中で“史上最も愛すべきゾンビ映画”だと語られています。
「ゾンビ」をオマージュしたことと、舞台がイギリスとあって、まさに「イギリス版ゾンビ」といった印象の本作。
監督は本作でのヒットが話題になったエドガー・ライト。
低予算の作品をメインとしていて、コメディ作品などを得意としていますが、いずれも高い評価を受けています。
出演は、シチュエーションコメディ「スペースド」でエドガー・ライトとタッグを組んだサイモン・ペッグ、「スペースド」に出演していたニック・フロスト、主人公ショーンの恋人役のケイト・アシュフォードなど。
また本作はエドガー・ライト監督、サイモン・ペッグとニック・フロストが主演する「スリー・フレーバー・コルネット3部作」の第1作目として認識されており、同様の製作陣で製作されたB級コメディ映画3作はこの作品から始まったことになります。
タイトルの “ショーン・オブ・ザ・デッド” は、ジョージ・A・ロメロの名高いゾンビ映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」（1978年）のもじりです。
映画はゾンビジャンルへの敬意 (“オマージュ”) を随所に散りばめています。
本作は低予算（約 600 万ドル前後）で制作されましたが、そのアイデア、キャラクター造形、脚本の巧みさで国内外でヒットし、興行的にも成功しました。
ショーン（サイモン・ペッグ）とエド（ニック・フロスト）の友情関係は、サイモン・ペッグとニック・フロストの実際の友情・共同生活経験を反映しています。
劇中、パブなどにおける彼らの描き方には、実生活の気だるさや「一緒にいるけどあまり動かない」という関係性がそのまま描かれているといわれています。
本作はエドガー・ライト監督とサイモン・ペッグ、ニック・フロストのコラボによる”コルネット三部作”の第1作目です。
後の作品「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン！」（2007）と「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う！」（2013）が続き、それぞれに “コルネット” のアイスクリームがシンボルとして登場します。
ゾンビに向かってレコードを投げて迎撃するシーンでは、実際にアルバムを破損させる必要があるため、アーティストの許可を取る必要がありました。例えばシャーデーの 「ダイヤモンド・ライフ」は許可が下りた例。
逆にデヴィッド・ボウイのアルバム（例：「ジギー・スターダスト」、「ハンキー・ドリー」、「ラビリンス」のサウンドトラックなど）は候補に挙がったものの、交渉の末、使用は見送られたようです。
脚本には早い段階で後の展開を暗示する “伏線” が多く含まれています。
例えば、エドが翌日の予定を軽く話す場面で、登場人物たちの運命がほのめかされていたり、映画のテンポを維持するためのテンポ良い演出（場面転換など）にエドガー・ライト監督特有のスタイルが見られます。
ショーンが母と電話している間にエドが “We’re coming to get you, Barbara” と叫ぶ場面は、1968 年の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」におけるセリフ（“They’re coming to get you, Barbara”）へのオマージュです。
また、仕事先で若者たちに「アッシュも病気で来られない」というセリフがありますが、これは「死霊のはらわた」シリーズの主人公 “アッシュ”（ブルース・キャンベル）へのちょっとした言及ですね。
パブやロンドン北部の雰囲気（住んでいたり頻繁に訪れたりするパブ、友達とだらだら過ごす日常など）作中の場所感やキャラクターのだらだらした生活スタイルには、サイモン・ペッグやエドガー・ライトの経験が色濃く反映されている、という意見があります。
ペッグとライトは続編のアイデアを検討したことがあります。
ゾンビではなく別の怪物を相手にする、といったアイディアもあったとのことです。
仮題 “From Dusk till Shaun” などの案も。
ですが、登場人物が既に多く亡くなっており、また「主人公の成長／変化」が物語としてまとまって完結しているという理由で、続編は実現しませんでした。
サイモン・ペッグは、リブートや再制作（リメイク）にも強く反対する姿勢を見せており、本作が非常にパーソナルな作品であると述べています。
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」のあらすじ
ショーンは仕事もあるし恋人もいるのだが、どこか冴えない男。
恋人のリズとのデートは毎回行きつけのパブで、ショーンは必ず親友のエドを連れてくる。
付き合って3年。
嫌気がさしていたリズが不満を訴えるため、ショーンはレストランを予約して彼女を連れていこうと決意する。
しかし、ショーンは予約を取ることを忘れてしまい、これが決定的となってリズに振られてしまう。
振られて落ち込むショーンを元気付けようと親友のエドが行きつけのパブへ誘い出し、酒を飲んで盛り上がったふたりは、町の異変に気付くことはなかった。
翌朝になってもふたりは何も気付かず、ショーンは行きつけの店に行って買い物を終え、家に帰ってくるまでの間、町を闊歩するゾンビの存在に気付かなかった。
庭に見知らぬ女性がいることにエドが気付いて、声をかけに行くと反応が悪く、酔っ払っているのだと勘違いする。
掴みかかられてもさほど動じず、記念写真など撮る始末。
声をかけても反応せずに掴みかかってくるため、いよいよショーンが彼女を突き飛ばすと、女性は庭にあったポールの上に倒れてしまい、ポールが腹部を貫通する。
しかし、女性は何事もなかったかのように起きあがり、腹部に穴が開いた状態で立ち上がった。
家の中に戻ったふたりはテレビを見始め、ニュースによってゾンビの発生によるパニックを知ることとなる。
ショーンは母親のバーバラとリズを助けなければと思い立ち、エドと計画を立てる。
行きつけのパブに逃げ込めば安全なはず。
そう思い、車に乗って出発した。
バーバラは自宅にいて無事だった。
再婚した夫で、ショーンとは折り合いが悪かったフィリップも生きていたが、ゾンビに襲われて怪我をしてしまう。
ショーンはバーバラたちを連れ出し車に乗せて、次はリズの元へ向かう。
リズは友人のデービット、ダイアンと共に部屋に立て篭もっていた。
ショーンの提案を聞いてパブへ向かうことを決め、車を走らせる。
しかし、怪我をしていたフィリップがゾンビになってしまい、車を捨てた彼らはフィリップに別れを告げて、歩いてパブに向かうことにする。
やがて目的地であるパブが見えた時、その前には無数のゾンビが群がっていた――。
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の感想
ゾンビ映画はたくさんあるでしょうが、ここまでおかしなゾンビ映画は知りません。
すぐ傍にゾンビがいるのに気付かず歩き去ったり、ついにゾンビの存在に気付いたのに、慌てて逃げ出すわけでもなく家の中へ戻ったり、さあいざ戦おうと決めたのに、投げつけるレコードをゾンビの前で選別したりと、他の映画では見られない描写が楽しいです。
登場人物の個性が楽しく、特にショーンとエドの友情は色濃く描かれ、軽快なやり取りが映画を盛り上げます。
音楽とのマッチも絶妙で、本人たちは至って真面目なつもりかもしれないけれど、ゾンビとのコミカルな攻防はもう一度見たいと思えます。
ただし、楽しいばかりの映画ではなく、やはりゾンビ映画というツボも押さえていて、目の前で起こる悲劇や生き残った後悔、悲しい別れもゾンビ映画ならでは。
序盤のコミカルさからは予想もしなかった、意外なほどにグロテスクなシーンも登場します。
また、エンディングもこの映画ならではといった雰囲気で、ただ楽しい、ただ悲しいでは終わらせないブラックなユーモアを感じさせてくれる結末なのが良かったです。
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」のスタッフ
監督：エドガー・ライト
製作：ニラ・パーク
製作総指揮：ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、アリソン・オーウェン、ナターシャ・ワートン、ジェームズ・ウィルソン
脚本：サイモン・ペッグ、エドガー・ライト
撮影：デヴィッド・Ｍ・ダンラップ
音楽：ダン・マッドフォード、ピート・ウッドヘッド
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」のキャスト※（）内は日本語吹き替え版キャスト
ショーン：サイモン・ペッグ（横島亘）
リズ：ケイト・アシュフィールド（本田貴子）
エド：ニック・フロスト（茶風林）
デヴィッド：ディラン・モーラン（てらそままさき）
ダイアン：ルーシー・デイヴィス（魏涼子）
バーバラ：ペネロープ・ウィルトン
フィリップ：ビル・ナイ（野沢那智）
ピート：ピーター・セラフィノウィッツ（岩尾万太郎）
イヴォンヌ：ジェシカ・スティーヴンソン
ソネル・ダドラル
マーティン・フリーマン
マット・ルーカス
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映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の関連作品
監督：エドガー・ライトのその他の作品
ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン! (2007)
監督：エドガー・ライト
出演：サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント他
「ショーン・オブ・ザ・デッド」と監督、主演を同じくするコメディ作品。
エリート警察官は上司に疎まれて田舎町に左遷され、呑気な警察官と共に仕事をする。
ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (2013)
監督：エドガー・ライト
出演：サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、パディ・コンシダイン他
スリー・フレーバー・コルネット3部作の3作目となるSFコメディ映画。
主人公たちは地球人に混じるエイリアンの存在に気付き…。
ベイビー・ドライバー (2017)
監督：エドガー・ライト
出演：アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ他
出演：サイモン・ペッグのその他の作品
M：i：Ⅲ（2006）
監督：J・J・エイブラムス
出演：トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン・ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン、サイモン・ペッグ他
ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル (2011)
監督：ブラッド・バード
出演：トム・クルーズ、ポーラ・パットン、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー他
ミッション：インポッシブル/ローグネイション（2015）
監督：クリストファー・マッカリー
出演：トム・クルーズ、レベッカ・ファガーソン、ジェレミー・レナ―、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス他
レディ・プレイヤー１ (2018)
監督：スティーヴン・スピルバーグ
出演：タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、ベン・メンデルソーン、サイモン・ペッグ他
ミッション：インポッシブル／フォールアウト (2018)
監督：クリストファー・マッカリー
出演：トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ他
ミッション：インポッシブル／デッドレコニング PART ONE (2023)
監督：クリストファー・マッカリー
出演：トム・クルーズ、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ他
「ミッション：インポッシブル」シリーズ第7作となる作品。
全能のAI「エンティティ」制御キーを手に入れるため、イーサン・ハントとその仲間が世界を駆け巡る。
出演：ルーシー・デイヴィスのその他の作品
ワンダーウーマン (2017)
監督：パティ・ジェンキンス
出演：ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、ルーシー・デイヴィス他
DCコミックスを代表する人気キャラの初となる単独主役作品。
女性ばかりのアマゾン族の王女として育ったダイアナは、ある日、不時着した飛行機のパイロットから外の世界で大きな戦争が起こっていることを聞き･･･。
出演：ピーター・セラフィノウィッツのその他の作品
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー (2014)
監督：ジェームズ・ガン
出演：クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ピーター・セラフィノウィッツ他
SPY/スパイ (2015)
監督：ポール・フェイグ
出演：メリッサ・マッカーシー、ジェイソン・ステイサム、ローズ・バーン、ピーター・セラフィノウィッツ他
ジョン・ウィック：チャプター２ (2017)
監督：チャド・スタエルスキ
出演：キアヌ・リーヴス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン、ピーター・セラフィノウィッツ他
「ジョン・ウィック」シリーズ第2作。
伝説の殺し屋であるジョン・ウィックはイタリアン・マフィアとのトラブルにより、世界中の殺し屋から狙われることとなり･･･。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
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