映画「TENET テネット」を見た感想(少しネタバレ)

洋画

クリストファー・ノーラン監督の映画「TENET テネット」を映画館で見てきました。
映画館に行くのはほぼ1年ぶりくらいになります。
でも、久しぶりに映画館で見る映画が「TENET テネット」でよかったな、と思いました。

このページでは「TENET テネット」を見た感想をお伝えしたいと思います。
なるべくしないように心がけたのですが、ネタバレしてしまっている部分もあるので、まだ未観賞の方は読むなら「自己責任」ということでお願いしたいと思います。

「TENET テネット」は評判通りの難解映画

(C)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

私はクリストファー・ノーラン監督作品は、「メメント」「インソムニア」をかなり前に見ていて、その時は「面白いな」と思ったのですが、積極的に追いかける気にはなりませんでした。
ところが、今年になって「ダークナイト」「インセプション」「ダークナイト ライジング」を見て、「これは凄いな!」と今さらながら思ったのでした。

そんなクリストファー・ノーラン監督の新作がコロナ禍の中、公開されるということで、重い腰を上げて映画館に行ってきたというわけです。

見終わってまず思ったことというのは、「よくわからない」。
映画を見ている時はストーリーを追うのに精一杯なうえに、次々と新しい要素が出てきて、はっきり言って理解が追いつきませんでした。

見終わってから思い出してみてもどうも腑に落ちない部分が多いです。
ネットでいろいろと考察記事を読んで、かなりの部分「ああなるほど」とようやく納得しました。

本作は「第三次世界大戦を防ぐために活躍するスパイの物語」というような紹介をされていますが、見終わっての印象はスパイ4割、SF6割、という感じでしょうか。
というか、防ごうとしているものは「第三次世界大戦」じゃないような気がします。

本作の重要な要素として、「時間の逆行」というものがあります。
とにかく、この部分がわかりにくい。

タイムマシンによるタイムトラベルとか、偶発的なタイムスリップとかなら、これまでほかの映画とかアニメ、マンガでさんざん描かれていますから、「まあそういうもんだろ」ということで一応理解はできますが、本作の「時間の逆行」はかなり独自色が強く、そのルールとか効果まであるので、そこで頭が混乱します。

そのせいで、「TENET テネット」を1度見ただけで理解することは、大多数の人が不可能なのではないでしょうか。

このオリジナリティーあふれる「時間の逆行」という設定を考え出したのは、さすがクリストファー・ノーラン、という感じですね。

ただ、その表現は結構、既視感があるというか想像通りというか…。
まあ、「逆行」なわけですから、通常の時間の流れの中にいる人から見たら、「ビデオの逆再生」的な見た目になることは当然ですよね。

想像ですけど、本作の「時間の逆行」は「インセプション」の「夢の階層によって時間の流れる速度が違う」というところから発想を広げたんじゃないでしょうか。
映画の雰囲気自体も「インセプション」に近いところがあるので、「どうも『インセプション』で見たような…」と感じたのかもしれません。

「ダークナイト トリロジー」「インセプション」と比べると

クリストファー・ノーランが現在のような存在となったのは、「ダークナイト トリロジー」と「インセプション」によるものだと思います。

「ダークナイト トリロジー」はアメコミの代表的なキャラ「バットマン」をリアルに描いたもの、「インセプション」は夢の世界をリアルに描いたもの、ということで、今回の「TENET テネット」の時間移動(前に戻るだけですが)をリアルに描いたものとの共通点があります。

「時間の逆行」設定は今までになかったもので、その発想は確かにすごいと思います。

ただ、「時間移動」ってムリじゃないですか。
人間が移動するだけに限らず、未来から過去に何かを送ることができないのは、現在のコロナ禍とか自然災害が多発していることから明らかですよね。
もし、時間移動が可能なら、未来から何らかの警告とかあってもおかしくないですからね。

「バットマン」という存在はもともと人々の中に「こういうもの」という共通の認識があるし、夢の中なら何でもアリだから「もしかするとそんなことができるかも」というのはあるんですが、「TENET テネット」の「時間の逆行」だとぐっと映画としての真実味が薄れたようにも感じます。

本作は科学的な監修なども行われているようですが、私はそこはかとない「中二病的な匂い」も感じました。

いや、それが悪いと言っているわけではなくて、莫大な製作費をかけてそんな話を映画化してくれるクリストファー・ノーランをはじめとする制作者の方に敬意を感じています。

やっぱりツッコミどころはあり

私はいつも映画を見る時はツッコミどころを探しながら見るのですが、本作はそれどころじゃありませんでしたね。
でも、見終わった後、時間がたってから内容を思い返していると、どうしてもひっかかる部分がありました。

それは「タイムパラドックス」の問題です。
「ターミネーター」などでは思いっきりスルーされていますが、本作でもやっぱり目を反らしているように思います。

大規模な時間逆行を引き起こす装置である”アルゴリズム”を起動させて現代の人類を滅亡させる、というのが未来人の計画なのですが、そんなことしたら未来人も消滅するのでは?ということです。
本編でもこの可能性に触れてはいますが、あいまいなままとなっています。

でも、どう考えても影響がないようには思えないのですが。
まあ、私の知識不足か、頭が固いだけという可能性もありますけどね。

未来人がそんなことをする目的は地球の環境破壊を止めるためだそうで、それだったら、自分たちが消滅するかもしれないイチかバチかの危険な賭けをするんじゃなくて、もっといいやり方があるように思うんですけどね…。

いや、そもそも本作の悪役であるセイターみたいなどこの馬の骨とも知れない人間を操るよりも、アメリカ大統領とかに連絡した方が確実な気がします。

とまあ、いろいろ書きましたが、やっぱり面白いです「TENET テネット」。

久しぶりに映画館に行って感じましたが、没入感が凄いですね。
この作品はTVとかPC、スマホで見るよりも映画館で見た方がいいです。

IMAX用に撮影されているそうなので、IMAXの映画館がお近くにある方はぜひそこでご覧になることをおすすめします。

まとめ

クリストファー・ノーラン監督の3年ぶりの新作として公開された映画「TENET テネット」は、わかりにくいしツッコミどころもありますが、間違いなく2020年を代表する娯楽映画です。

映画館で見た方がより楽しめると思いますが、まだ人の集まるところは怖いという方は、レンタルでも配信でもいいので見てみてください。
「TENET テネット」を見たという人と会った時に、話が弾むこと間違いなしですから。

「TENET テネット」のあらすじ、トリビアなどはこちら

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