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映画「オリエント急行殺人事件」2017年版の作品情報、あらすじ、感想

映画「オリエント急行殺人事件」は、1934年に発表されたあまりにも有名なアガサ・クリスティーのミステリー小説の古典「オリエント急行の殺人」を原作として、2017年12月8日（日本）に公開されたアメリカ合衆国製作のミステリー映画。114分。

英国を代表するミステリー作家の女王アガサ・クリスティーの代表作の映画化となれば期待も高まる。
予想を裏切る結末にファンの間でも人気が高く、今までも映画化やドラマ化、舞台化されて人々に愛される作品だ。

クリスティーは、飛行家リンドバーグの息子が誘拐され亡くなった実際の事件「リンドバーグ愛児誘拐事件」から着想を得て、作品を書き上げた。
小説の中には、不条理に対するクリスティーの思いが込められている。

2013年に20世紀フォックスが「オリエント急行の殺人」を映画化すると発表し、監督には「ヘンリー五世」「世にも憂鬱なハムレットたち」のケネス・ブラナーを起用することに決まる。

ブラナーはシェイクスピア劇で高い評価を受ける俳優として多くの舞台や映画に出演するとともに、早くから監督としても活躍している。
そして今作は、ブラナー自身が主人公のエルキュール・ポアロを演じることになる。

そこから、この映画の特徴でもある多くの出演者の交渉に入って、さまざまな紆余曲折を経て、2016年にイギリスで主要撮影が始まる。
ブラナー監督作品としては1996年の「ハムレット」以来20年ぶりになる。
大部分を65mmフィルムで撮影し、70mmプリントでの公開となる。

原作のポアロ像を最大限忠実に再現しようと、ブラナーが演じたポアロの口髭は、過去の作品でアルバート・フィニーやデヴィッド・スーシェが演じたポアロよりも大きなものになっている。

映画「オリエント急行殺人事件」2017年版のあらすじ

エルサレムである事件を解決し、トルコを出発しフランスに向かう豪華寝台列車オリエント急行の車内で、帰国の途につく世界一の私立探偵のエルキュール・ポアロ（ケネス・ブラナー：草刈正雄）は、車内で殺人事件に遭遇する。

被害者のエドワード・ラチェット（ジョニー・デップ：平田広明）は、前日にポアロに身辺警護を依頼してきたアメリカ人ギャングの大富豪だった。
ラチェットは刺殺体で発見されるが、なんと体には12カ所に及ぶ刺し傷があった。

走る密室の中で行われた殺人事件。
途中、列車は吹雪で身動きがとれなくなり、犯人もまだ列車内にいるに違いないと思われた。

ポアロは、次々に乗客に聞き込みを行う。
彼らは、不思議なことに全員にアリバイがあり、目的地以外は共通点がないように見えた。

ポアロは乗客たちと車掌をあわせた13人を殺人事件の容疑者として、捜査を続ける。
事件の捜査は難航したが、ポアロは、天性の直感と鋭く細やかな推理で次第に事件の真相に近づいていく。

しかし、それはポアロをさらに悩ます事態になるのだった。
「完璧主義者」のポアロは、信念である真実の追求をするべきか、正義を優先するべきなのか悩みつつ、事件解決の決断を下すのだった。

映画「オリエント急行殺人事件」2017年版の感想

舞台人ブラナーらしく、食堂車の縦並びからトンネル内の横並びへの空間移動や、急行への乗車、下車時の長回し撮影も見応えが感じられた。

上からのカメラワークを効果的に使い、狭い車内と部屋の配列などを見せる演出は、観ている者の頭を整理しながら、さまざまに推理することを手助けする効果があった。

第1作目の映画化では叶わなかった、2017年版ならではの技術もしっかりと駆使して、CGで作られた車窓の風景も壮大だ。

ポアロが事件の真相に気づきながらも自分の信念を曲げてまで、事件を別の形で解決したくなる心情はとてもよくわかる。
こだわりが強く、正義にこだわるポアロにも人間味があることがわかるストーリーだ。

基本的には列車内しか画が切り替わらない作品だが、豪華な出演陣とそれぞれの演技で、華やかでゴージャスな映画になっている。

有名な「オリエント急行殺人事件」を観ようという人は、たくさんある作品の中からどれを選ぶか？ということになるが、最初にまず2017年版の本作をおすすめする。

製作順に見ていくのもいいのが、時代にあった共感しやすい人物像や、初期作品にはなかったアクションやCGを使った映像美、加えて豪華なキャスト陣の華やかさからも、やはり最初は2017年版だろう。

そこから他の3つの作品を見比べて、ポアロが「法と正義」の問題にどう向き合い、どんな答えを出すのかを見るのよし。
それぞれの役者が演じるポアロの違いを楽しむのもよし。

全ての真相を知った上で、もう一度最初から見返して、あの時、あの人物はどう動いていたのか、どんな発言をしていたか、などに注目してみるのも面白い。

映画「オリエント急行殺人事件」2017年版のスタッフ

監督：ケネス・ブラナー
製作：リドリー・スコット、マーク・ゴードン、サイモン・キンバーグ、ケネス・ブラナー、ジュディ・ホフランド、マイケル・シェイファー
原作：アガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』
脚本：マイケル・グリーン
撮影：ハリス・ザンバーラウコス
視覚効果監修：ジョージ・マーフィ
プロダクションデザイン：ジム・クレイ
衣装デザイン：アレクサンドラ・バーン
編集：ミック・オーズリー
音楽：パトリック・ドイル

映画「オリエント急行殺人事件」2017年版のキャスト※()内は日本語吹替版キャスト

エルキュール・ポアロ：ケネス・ブラナー（草刈正雄）
宣教師のピラール・エストラバドス：ペエロペ・クルス（高橋理恵子）
教授のゲアハルト・ハードマン：ウィレム・デフォー（家中宏）
ドラゴミロフ公爵夫人：ジュディ・デンチ（山村紅葉）
エドワード・ラチェット：ジョニー・デップ（平田広明）
ラチェットの秘書のヘクター・マックイーン：ジョシュ・ギャッド（石上裕一）
ラチェットの執事のエドワード・ヘンリー・マスターマン：デレク・ジャコビ（小田桐一）
医師のドクター・アーバスノット：レスリー・オドム・Jr（綱島郷太郎）
オリエント急行の車掌のピエール・ミシェル：マーワン・ケンザリ（玉木雅士）
ドラゴミロフ公爵夫人のメイドのヒルデガルデ・シュミット：オリヴィア・コールマン（米丸歩）
エレナ・アンドレニ伯爵夫人：ルーシー・ボイントン（清水理沙）
自動車のセールスマンのビニアミノ・マルケス：マヌエル・ガルシア＝ルルフォ（中村章吾）
ルドルフ・アンドレニ伯爵：セルゲイ・ポルーニン（岩川拓吾）
国際寝台車会社の重役でポアロの友人のブーク：トム・ベイトマン（中村悠一)
未亡人のキャロライン・ハバード夫人：ミシェル・ファイファー（駒塚由依）
家庭教師のメアリ・デブナム：デイジー・リドリー（永宝千晶）

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映画「オリエント急行殺人事件」2017年版の関連作品

オリエント急行殺人事件 (1974)
監督：シドニー・ルメット
出演：アルバート・フィニー、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンス他
「マスターピース」とも呼ばれる1974年版。
1975年5月17日、日本公開。128分。イギリスとアメリカ合衆国の共同製作。
本作はシドニー・ルメットが監督で、主演を務めたアルバート・フィニーがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、イングリッド・バーグマンはアカデミー賞助演女優賞を受賞した。
脚色賞、撮影賞、作曲賞、衣装デザイン賞の6部門でノミネートされた。
初代ジェームス・ボンド役で知られるショーン・コネリーなども出演した。
70年代の古き良きオーソドックスな娯楽映画になっている。
全体的に陽気な雰囲気で、殺人事件の解明に至る作品後半でも喜劇的でおしゃれで華やかな要素が強くなっている。

名探偵ポワロ　「オリエント急行の殺人」 (2010)
監督：フィリップ・マーティン
出演：デヴィッド・スーシェ、アイリーン・アトキンス、ヒュー・ボネヴィル他
2010年7月11日放送。イギリス版ドラマ。日本では2012年2月9日放送。
主演デヴィッド・スーシェによる、1989年から2013年まで13シーズン全70話の長きにわたり放送されたTVドラマ「名探偵ポワロ」シリーズの中の1編。
エルキュール・ポワロが登場するアガサ・クリスティーの作品の短編と長編のほぼ全てを映像化した決定版ともいわれている。
原作出版から75周年のタイミングで第12シリーズの最終話として制作、放送された。
冒頭から重苦しい音楽が流れて視聴者の不安をかきたて、マスターピースとは一線を画す。
ラチェットの殺害も裁きであることを強調するために、本人の意識がある状態で行われるなど残酷な表現になっている。
「法と正義とは何か？」ということにポイントを置いて描かれた。

オリエント急行殺人事件 (2015)
演出：河野圭太
出演：野村萬斎、松嶋菜々子、二宮和也、佐藤浩市他
2015年1月11日、12日の2夜連続スペシャルドラマとして日本で放送された。第1夜170分。第2夜163分。
「オリエント急行の殺人」をもとに、三谷幸喜の脚本で舞台を日本の昭和初期に設定して、原作を踏襲した1部とそれを乗客の視線で描き直すという手法の2部で構成された。
全体的に陽気な雰囲気はマスターピースと通ずるものがあり、さらに三谷脚本らしくコメディ色が強くなっている。
主役のポアロに相当する役は野村萬斎が演じた。
東京ドラマアウォード2015の単発ドラマ部門グランプリ受賞。

監督・出演：ケネス・ブラナーのその他の作品

ダンケルク (2017)
監督：クリストファー・ノーラン
出演：フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン＝カーニー、ジャック・ロウデン、ケネス・ブラナー他

TENET テネット (2020)
監督：クリストファー・ノーラン
出演：ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・ブラナー他
スパイである”名もなき男”は人類の滅亡を防ぐため、未来から送り込まれた武器の謎を追う。

出演：ウィレム・デフォーのその他の作品

ジョン・ウィック (2014)
監督：チャド・スタエルスキ
出演：キアヌ・リーヴス、ミカエル・ニクヴィスト、ジョン・レグイザモ、ウィレム・デフォー他

アクアマン (2018)
監督：ジェームズ・ワン
出演：ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ウィレム・デフォー他
DCコミックスを原作とする作品。
海底帝国アトランティスの女王と人間の間に生まれたアクアマンは、人類を滅亡させようとする異父弟と対決することになり･･･。

出演：ジョニー・デップのその他の作品

チャーリーとチョコレート工場 (2005)
監督：ティム・バートン
出演：ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー他
ロアルド・ダールの児童文学を原作とする作品。
世界一のチョコレート作るといわれるウィリー・ウォンカの製菓会社。
ある日、ウォンカは世界中で5人だけを自分の工場に招待すると発表し･･･。

出演：デイジー・リドリーのその他の作品

スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け (2019)
監督：Ｊ・Ｊ・エイブラムス
出演：デイジー・リドリー、アダム・ドライヴァー、ジョン・ボイエガ他
「スター・ウォーズ」の「スカイウォーカー　サーガ」9作目にして完結編となる作品。
ファースト・オーダーとレジスタンスの戦いはついに決着の時を迎え･･･。