中学生が大人たちに宣戦布告するという奇想天外な宗田理の小説を原作とする宮沢りえの映画デビュー作「ぼくらの七日間戦争」
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実写映画「ぼくらの七日間戦争」の作品情報、あらすじ、感想
本作は宗田理による累計発行部数2000万部を超える「ぼくら」シリーズの1作目である「ぼくらの七日間戦争」（角川文庫版）を実写化した作品です。
菅原比呂志が監督を務め、1988年8月13日に「花のあすか組」と同時公開されました。上映時間は94分。
本作の配給収入は3億3000万円を記録しました。
2011年には角川映画35周年記念としてデジタルリマスター版が発売され、2012年にはブルーレイディスク化されました。
厳しい校則が存在する中学校で、自由を求めて立ち上がった生徒と、校則で生徒を縛ろうとする教師たちとの戦いを描いています。
本作で映画デビューした宮沢りえは、日本アカデミー賞新人賞を受賞しました。
その後の活躍は紹介するまでもありません。
主役の11人の生徒たちは1万人を超える候補者中から選抜された個性派揃いです。
また、本作の主題歌はTM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」で、映画のテーマにぴったり合っていると評価されています。
注目は子供たちの秘密兵器として活躍する61式戦車が本物そっくりなことです。
この戦車は1979年の映画「戦国自衛隊」で制作された61式戦車のレプリカで、映画マニアの間では「角川61式」「戦国61式」と呼ばれています。
「戦国自衛隊」「ぼくらの七日間戦争」以外でも数多くの作品に出演した名脇役です。
本作の制作にあたっては原作にはない戦車なども登場する一方で、原作の重要なポイントである「全共闘についての説明」「柿沼直樹の誘拐事件」「外部との連絡・拠点を抜け出しての様々な工作活動」「教師への社会的圧力の誘導」などの描写がなくなり、廃工場での攻防に重点が置かれているという変更がありました。
映画「ぼくらの七日間戦争」の主要なロケ地は千葉県館山市でした。
学校のシーンは東京都立立川高等学校で撮影され、その他のシーンは南西川沿いや館山城が見える場所で撮影されたようです。
また、生徒たちが立て籠もった廃工場は、元々閉鎖されたボウリング場で、本作の撮影のために廃工場らしく作り変えられました。
実写映画「ぼくらの七日間戦争」のあらすじ
夏がすぐそこまできているある日、青葉中学1年A組から菊地英治（菊池健一郎）ら男子生徒が姿を消した。
理不尽な校則で縛りつける横柄な教師に反抗するため、生徒たちのリーダー的存在の英治が立て篭もりを提案する。
英治の相棒の相原徹（工藤正貴）は陽気なキャラ。
ケンカの達人の安永宏（鍋島利匡）は、空手の心得のある肉体派。
産婦人科の息子・柿沼直樹（田中基）は、おしゃれ好き。
食いしん坊で食べるのも作るのも好きな日比野朗(金浜政武)は、スーパー経営者の息子。
優等生の中尾和人（大沢健）は、成績優秀で「アリアハンの城」を設計する。
花火屋の息子・天野健二（石川英明）は、火薬の調合ができる。
機械いじりが得意でバイクの運転ができる宇野秀明（中野慎）。
の８人は家出したのだ。
世間体を気にする学校側は騒ぎを大きくしないように保護者をなだめつつ、生徒を必死で探す。
生徒たちは町外れの自衛隊の廃工場に食料や生活用品を持ち込んで立て篭もる。
学級委員で人望と統率力ある中山ひとみ（宮沢りえ）と、ひとみの親友の橋本純子（五十嵐美穂）、ひとみの親友で中華料理屋の娘の堀場久美子（安孫子里香）たちは、菊地たちの様子を見に行き仲間になる。
やがて生徒たちの居場所は、近所の人の通報でバレてしまう。
教頭の丹羽（笹野高史）が担任とそれぞれの生徒の母親を連れてきた。
睨み合う両陣営。
果たしてこの勝負、どちらが勝つのか？
史上最大のイタズラが始まる。
なんとか生徒を連れ帰ろうとする教師陣を、菊地たちは砂や水で追い払う。
教師陣は入り口をグラインダーで切断して工場に侵入する暴挙に出るが、生徒陣は工場の地下で見つけ、ひとみが「エレーナ」と名付けた戦車で追いかけ、教師陣を追い帰す。
ついに学校が通報して警察の機動隊も参入する大事になる。
生徒陣は、あらゆるトラップを仕掛けて敵を翻弄する。
教師陣が次々と檻に入れられたり網で吊し上げられる中、生徒たちは下水道を通って工場を脱出する。
それを祝うように、夜の工場に「エレーナ」から花火が次々と打ち上げられ、生徒たちの忘れられない夏が終わりを告げるのだった。
実写映画「ぼくらの七日間戦争」の感想
現代では到底考えらないが、本人不在で勝手に持ち物検査されたり、頭髪規定にわずかでも反すれば、速攻で髪を切られてしまったりする時代。
校則を破れば暴力も辞さない、まさに校則を守ることが全ての教師たちに、反抗するべく立ち上がる生徒たち。
大人だから偉いとか教師だから偉いとか、校則という名の権力を使って子供たちを押さえ込もうとし、それが当たり前に通っていた時代。
現代とは表面的な問題点は異なるが、思春期の少年少女が抱える不条理に対する反抗心は今も変わらないはずだ。
作戦を決行するのに必要な、いろいろな特技を持つ精鋭１１人が集合し、彼らなりの知識と工夫とチームワークで様々な罠を仕掛けて大人とバトルを繰り広げる。
原作にはない戦車が登場する大胆な展開は、映画ならでは。
佐野史郎、倉田保昭、大地康雄などの俳優陣の嫌味な教師ぶりは見事。
そして、なんといっても、この作品で映画デビューした宮沢りえの圧倒的な存在感。
抜群のスタイルとキュートなルックスに人々は魅了され、統率力のある役どころとも見事にハマって一気にブレイクした。
日本アカデミー賞新人賞の受賞も当然といえる。
劇中に出てくる「アリアハンの城」というのは、同年に発売されたファミコンゲームのソフト「ドラゴンクエストⅢそして伝説へ…」の中に出てくる城の名前で、当時の子供たちは皆が知っている存在だった。
現在とは時代背景があまりにも違うが、子供たちの戦う姿勢や戦う理由は共通するものがある。
悩んでいる思春期の青年たち、そして子育てする大人に見て欲しい。
宮沢りえの可愛さを見るだけでも価値のある映画だ。
実写映画「ぼくらの七日間戦争」のスタッフ
監督：菅原比呂志
製作：角川春樹
プロデューサー：青木勝彦
原作：宗田理
脚本：前田順之介、菅原比呂志
撮影：河崎敏
美術：小澤秀高
編集：板垣恵一
音楽：小室哲哉
実写映画「ぼくらの七日間戦争」のキャスト
中山ひとみ：宮沢りえ
橋口純子：五十嵐美穂
堀場久美子：安孫子里香
相原徹：工藤正貴
菊地英治：菊池健一郎
安永宏：鍋島利匡
柿沼直樹：田中基
中尾和人：大沢健
日比野朗：金浜政武
天野健二：石川英明
宇野秀明：中野愼
小柳みゆき
粟津號
上柳昌彦
飯島大介
三宅裕司
大地康雄
浅茅陽子
室田日出男
倉田保昭
佐野史郎
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実写映画「ぼくらの七日間戦争」の関連作品
ぼくらの七日間戦争２ (1991)
監督：山崎博子
出演：具志堅ティナ、佐野史郎、渋谷琴乃、柳志乃、明賀則和他
山崎博子監督デビュー作品。
1991年7月6日公開。88分。
「ぼくら」シリーズ10作目の「ぼくらの秘島探検隊」を原作にして、沖縄を舞台にして描かれた。
青葉中学2年A組の中山ひとみ（渋谷琴乃）、菊地英治（明賀則和）、堀場久美子（柳志乃）、安永宏（渡辺武徳）、日比野朗（大田原清文）、中尾和人（天間信紘）の６人は、親にも学校にも内緒で沖縄行きを決行する。
ジャングルのあちこちで彼らは奇想天外なゲリラ戦を大人相手に繰り広げる。
同時上映は「幕末純情伝」。
ぼくらの7日間戦争 (2019)
監督：村野佑太
声の出演：北村匠海、芳根京子、宮沢りえ他
2019年12月13日公開。88分。アニメーション映画。
最初の7日間戦争から30年後の世界の新たな戦いは、舞台を2020年の北海道に移して描かれる青春アニメ。
読書家の静かな少年・守（声：北村匠海）が密かに思いを寄せる幼なじみの綾（声：芳根京子）が東京へ引っ越すことに。
17歳をこの地で迎えさせてあげるために、友人らとともに工場で7日間の逃避行を敢行。
大人になったひとみ（声：宮沢りえ）はかつて7日間戦争を戦い抜いた人物として登場する。
前作の「エレーナ」が写真で登場したり、時代背景の違いを比べるのも面白いポイントになる。
出演：宮沢りえのその他の作品
映画 謎解きはディナーのあとで (2013)
監督：土方政人
出演：櫻井翔、北川景子、宮沢りえ、椎名桔平他
紙の月 (2014)
監督：吉田大八
出演：宮沢りえ、池松壮亮、大島優子他
TOO YOUNG TO DIE！若くして死ぬ (2016)
監督：宮藤官九郎
出演：長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、宮沢りえ他
人間失格 太宰治と３人の女たち (2019)
監督：蜷川実花
出演：小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ他
今なお多くの日本人に愛される作家・太宰治の晩年を描いた作品。
創作の苦しみや愛人との著作権を巡る争いに加え、病による体調の悪化で心身共に衰弱していた太宰は戦争未亡人の山崎富栄に救いを求め･･･。
アイ・アム まきもと (2022)
監督：水田伸生
出演：阿部サダヲ、満島ひかり、宇崎竜童、宮沢りえ他
出演：大地康雄のその他の作品
武士の一分（いちぶん） (2006)
監督：山田洋次
出演：木村拓哉、檀れい、笹野高史他
サバイバルファミリー (2017)
監督：矢口史靖
出演：小日向文世、深津絵里、泉澤祐希、大地康雄他
決算！忠臣蔵 (2019 )
監督：中村義洋
出演：堤真一、岡村隆史、濱田岳、大地康雄他
山本博文のノンフィクション『「忠臣蔵」の決算書』を原作とする作品。
日本人のほとんどが知っている「赤穂浪士の討ち入り事件」を、その出来事にかかった費用というかつてない視点から描く。
出演：倉田保昭のその他の作品
マンハント (2017)
監督：ジョン・ウー
出演：チャン・ハンユー、福山雅治、チー・ウェイ、倉田保昭
日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」をジョン・ウー監督によってリメイクした作品。
身に覚えのない殺人の罪を着せられた弁護士の無実を証明するための闘いを描く。
出演：佐野史郎のその他の作品
妖怪大戦争 (2005)
監督：三池崇史
出演：神木隆之介、宮迫博之、南果歩、佐野史郎他
２０世紀少年＜第１章＞ 終わりの始まり (2008)
監督：堤幸彦
出演：唐沢寿明、豊川悦司、常盤貴子、片瀬那奈、佐野史郎他
誰も守ってくれない (2008)
監督：君塚良一
出演：佐藤浩市、志田未来、松田龍平、佐野史郎他
となりの怪物くん (2018)
監督：月川翔
出演：菅田将暉 、土屋太鳳、古川雄輝、佐野史郎他
ろびこの人気少女マンガを原作とする作品。
友達がいないことが共通点のガリ勉女子と問題行動が多すぎの男子が、お互いを知ることで恋に落ちていく姿を描く。
騙し絵の牙（2021）
監督：吉田大八
出演：大泉洋、松岡茉優、宮沢氷魚、池田エライザ、坪倉由幸、和田聰宏、佐野史郎他
まとめ
いかがでしたでしょうか。
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